2016年07月19日 (火) | edit |
向田邦子の「霊長類ヒト科動物図鑑」の中に
「う」というタイトルのエッセイが収録されている。

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    <前略> 
 女のくせにだらしのないたちで、抽斗をあけて、
探すものがすぐに出たためしがない。
 大事なものは無くしたら大変と整理して仕舞いこむのがいけないらしく、
さあ、というときになると、どこへ入れたのか判らなくなる。
    <中略> 
 そのなかでただひとつ厳然とそれひとつを誇っているのは「う」という箱であった。

 「う」は、「うまいもの」の略である。
 この抽斗をあけると、さまざまの切り抜きや、栞が入っている。
 焼あなごの下村、同じく焼あなごの高松・こぶ七や仙台長なす漬の岡田、
世田谷にある欧風あられの幸泉、鹿児島の小学校のときの先生が
送って下すったかご六の春駒。
    <後略> 
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引き出しの整理をするのが苦手な筆者が、
唯一きちんと整理整頓しているのが「うまいもの」の切り抜きを収めた
引き出しの箱だというのである。
この情熱の幾分かでも仕事に注いでいればもっとマシなことができるのだが、
という感想とともに綴られる「う」の引き出しの話。
誰しも同じようなものだと筆者に伝えたいけれども、
すでに向田さんはこの世にはいない。

と、なぜこんなことを冒頭に書いてしまったかというと、
今日はお昼に鰻を食べたから。
「鰻」の「う」は「旨いもの」の「う」だなあ、とつくづく思った次第。


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そんな火曜日のお昼。
浅草橋で鰻でも食べようと、駅周辺をぶらぶら。
浅草橋近辺で鰻屋というと、「伊豆菊」「なかや」「千葉家」に
行ったことがあるのですが、「よし田」は未訪。
電気はついているようですが、今この時間に
営業しているのかしていないのかよくわからない。

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というわけで、「千葉家」にやってきました。
ここの鰻は去年食べとき、美味しゅうございましたからね、
オホホホ……
ちょうど店から出てくるサラリーマン3名とすれ違いましたが、
そのうち2名が最後に出てきた1名にペコペコとお辞儀をしておりました。
ふむ、あれは鰻を御馳走した人と御馳走になった人の図ですね。(笑)

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で、入口でお品書きを見て愕然。
値段が上がってる……
去年の鰻重は竹(2600円)、梅(3200円)、特上(3900円)でしたが、
今年は竹(2700円)、梅(3400円)、特上(4200円)ですって。
まあ、国産鰻だから仕方ないかしらね~

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さて、席について鰻重の特上を注文。
滅多に食べない鰻ですからね。
こういうときに特上をいただいておきましょう。

去年は注文してから料理が出てくるまで50分かかったので
ドキドキしていたのですが……

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今回は注文してから15分くらいで出てきました。
なるほど、これが通常のスタイルなのですね。

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早速蓋を開けて……
このお重いっぱいに敷き詰められた鰻がうれしい。
これが見たくて竹や梅ではなくて特上を注文するのです。

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鰻はふっくらと焼きあがっています。
この照りがきれいですね~

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鰻重にはもちろんお新香と肝吸い付き。

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山椒をちょちょいと振って、いただきましょう。

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ふっくらした鰻は脂がのってやわらかく、
皮も箸ですっと切れます。
ご飯の炊き加減もかためで私の好み通り。
たれがくどくなくて甘すぎず、これまた私の好きな味。
そんなに鰻を食べ歩いているわけではありませんが、
今のところ私のお気に入りナンバーワンの鰻です。

鰻を口に運びながら店内を眺めていると、
お客さんはほとんどが常連さん。
グループで来たお客さんは、だいたいが「御馳走する人」と
「御馳走される人」に分かれ、「御馳走される人」はペコペコと
お辞儀を繰り返すという構図も何回か見かけました。
ああ、私も奢られてみたい。(笑)
でも、私の性格からすると、美味しいものは奢られるよりも
自分できちんとお金を払って食べられるようになりたい。
一生、鰻をご馳走になることはないのだろうなあ、と思ったりしました。

うまいもの、これからもたくさん食べたいな。
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